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「あの~、室長。マ・クベなんですけど」
  なんだね、いづみくん。私は今アッガイをいかに弁護するかを研究しているところなんだが?

「その~、アッガイより先にマ・クベ、しませんか?」
 何故マなのだ。彼は我らが軍神コンスコンとは違って多くのファンを抱え、高い評価も得ている。今更我々が持ち上げたりする理由はないと思うが?

「なぜかって言うのは、もうみんな知っていると思います。それとマ・クベの真の評価はまだされていないと思います。これは絶対、室長にしかできないことだと思うんです」
 ふむ、真の評価、私にしかできない、ふ~む。……、よろしい!  ではこの私がマの隠されていた様々な真実を明らかにすると共に、真の評価をしてさしあげようじゃないか!

(……、簡単だろうとは思っていたけど。こうまでのせやすいとはねぇ……。でも“マ”って呼び方はやめてほしいなぁ)

 

優雅な男

 はっきり言ってしまうとマは、いわゆる美男子ではないと考える。しかし彼の“優雅さ”は顔の作りなどに左右されるものではない。
 初登場からして、北宋の壺を指で弾いて『いい音色だろ』と副官に問う場面である。これだけをとってもマが芸術を解する人物であり、今までにないタイプであることが分かる。問われた副官はまるっきり興味なさそうであったが。
 また服装からも彼の優雅さが伺える。 同じ様に他とは根本的に違う服装をした者は誰もいないことから、彼の特異な位置が見て取れるだろう。

かけひきの男

『これはかけひきなのだよ』
 オデッサの戦い(オデッサには地上で最も重要なジオン軍基地があった)における、マの有名な言葉である。この直後、マは条約によって禁止されていた核攻撃を行った。
 上記の言葉通り、かけひきとして、あの場面では核攻撃を行うべきであり、またそれによってレビル将軍(連邦軍における総大将的重要人物)は戦死、連邦軍は壊滅的損害を被った、はずであった。しかし“白い悪魔”ガンダムの非常識な働きにより核攻撃は無効化されてしまった。
 この戦いでオデッサは連邦軍の手に落ち、ジオンはミリタリーバランスを逆転されて苦しくなっていく。だがオデッサの、またヨーロッパ方面軍の司令官であったマに落ち度はなかった。ただ、ザビ家の確執による補給の問題とガンダムは、マですら(というかどんな者でも)カバーできるものではなかっただけである。

 また彼ほど戦略、戦術に長けた者は他にいないだろう。 常に一歩先、二歩先を見ており、 故に打つ手も早く、正確である。
 先に挙げたオデッサの戦いでも、連邦軍の四分の一という劣勢でありながら互角に近い戦いをしたのだ。
 しかもマは連邦軍のエルラン中将をジオン側のスパイとしており、最終的には連邦を裏切るようにまで仕向けていた。
 エルランは艦隊の司令官であり、レビル将軍の副官でもあった。その地位を利用してエルランはあらゆる情報をマに流していた。だがしかしエルランのふがいなき部下ジュダックの不手際により、エルラン中将は作戦中に逮捕されてしまう。
 エルランの立場はさしずめ関ヶ原の戦いにおける小早川であったのだろう。その裏切りの効果は抜群であったはずで、まさに関ヶ原の戦い通り、 戦局は逆転していたかもしれなかったのだ。

男の中の漢

 上記の二つは一般的なマの評価でもある。だがマが誇り高く、また優しい“漢”であったことはあまり知られていない。根拠をあげよう。

 マはある基地よりの撤退時、直属の上官であるキシリア・ザビ少将から『機密保持のため(基地を)爆破せよ』と言われた時、『まだ兵がいます』と反論しているのだ。
 もしマがただの戦略家であるのなら、状況はキシリアの言うとおりであるので、なんのためらいもなく命令に従っていたはずである。

 その後、マは救援艦隊の司令(ちなみにマはグワジン級戦艦に搭乗していた)として総攻撃を受けているソロモンへ向かう途中、 ソロモンから脱出してきた艦船を救出した。その艦船にはドズル・ザビ中将の妻ゼナと娘ミネバも乗っていた。
 そのことによりマはソロモンが落ちたことを知り退却するのだが、ここで彼はゼナとミネバを丁重に扱ったのだ。
 マはキシリア派の人間であるので彼女たちを謀殺するという選択もあったのだ。ドズルの妻そして忘れ形見は、ジオン内部のおいて将来の敵となる公算が大きいからである。 だがマはそれをせず、結果として未来、アクシズ/ネオ・ジオンを生み出すことになるのだ。

 そして彼はギャンに乗って、ガンダムを打倒すべく出撃する。その理由が凄い。
『男としての面子がある』
 非常に素晴らしい言葉である。

 さらにガンダムとの戦闘時、有名なエースのある大佐と合流するも 『私なりの戦い方がある』として支援を断っている。

 最後、力及ばずガンダムによって撃破されるとき、マはこう言い残した。
『あの壺をキシリア様に届けてくれよ。あれは……いいものだ……』
 死の直前においても取り乱したりせず、自らが愛でた壺を敬愛するキシリアへ届けて欲しい、と。

 私は断言しよう、マ・クベこそ男の中の漢であると。

 

 と、まあこんなものだろうか。

「ふうん、マ・クベって卑怯ってイメージがあったんですけど、ものは言いようですね」
 はっはっは、そうであろう。マはただ前へ前へと突き進む猛牛ではなく、逆にそれを狩る優雅なマタドールだったのだろう。彼の乗機としてギャンはやはり相応しいのだ。

「でもやっぱり裏切りや見捨て、罠とかを駆使してた様な気が」
 それらはマの賢明さと優しさで説明できる。賢明であるからこそ様々な策略を講じることが出来、また優しいからこその罠などである。これらならうまくいけば味方の被害を最小限に抑えることが出来るからな。敵にまでそれを考えたらそれは優しさではなく、博愛になってしまって戦いどころではないしな。

「ん~、ああ言えばこう言う、ってやつですか。まあ、そういうことにしてきましょうか」
 なんだいづみくん、今日はやけにからむじゃないか。

「え~、そんなことないですよ。あ、そうそう室長。さっき、『アッガイはどうした』って府の人が文句言いに来てましたよ」
 何! や、やばい。こんなことをしている場合ではない!  は! さてはいずみくん、計ったな!

「策略は賢明と優しさの証、って今さっき室長が言いましたよね。いやあ、よかったですね、賢明で優しい部下がいて(笑)」
 く、くそっ、まさかいづみくんにしてやられるとは……。まあよい。このことはしっかりと覚えておくように。ふっふっふっふ……。

「う、なんですかの目つきと不気味な笑いは……。……なんかわたし、やばいことしちゃったんじゃ……」

 

編集後記:

「この【マ・クベの生き様】は、マ・クベの声優だった塩沢兼人氏が急逝されたのをうけて、書いたものでしたよね」
 そうだったな。大変惜しい方を亡くしたものだ。私の中では故塩沢氏の代表役はマであったからな。

「確かに氏の活躍なくしては、あれほどキャラは立たなかったかもしれないですからね」
 まさしく、だ。
 ところでな。

「はい?」
 ちゃんと覚えているか?

「? 何をです?」
 ふっふっふっふ……。私は思いだしたよ。まあ、忘れているなら忘れたままでいい。あとで嫌でも思い出すからな。

「な、何? 何のこと?!」

 

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