不人気就職先No.1

先日UBC(Universal Broadcasting Company)が行った調査によると、不人気就職先No.1は、「戦艦アーガマの左舷」であった。調査方法は現在就職活動を行っている学生・浪人・家事手伝い・リストラされたサラリーマン等、10,000人への電話アンケート。

それによると、質問2「あなたが一番働きたくない場所はどこですか?」への回答の第一位は「戦艦アーガマの左舷」であった。その割合は驚きの68%。

「戦艦アーガマ」と言えば、艦長ブライト・ノア氏のもと、数々の激戦をくぐり抜けて来た連邦軍の花形戦艦。「第三次スーパーロボット大戦」、「第四次スーパーロボット大戦」などでも人々の平和を守るために、ブライト艦長率いる「ロンド・ベル」部隊は主要な役割を果たしてきた。当然、知名度は高く、人々の間でも人気はダントツである。

では、そんなアーガマの左舷がなぜ不人気就職先No.1に輝くのか。その理由としては「いつも左舷の弾幕ばかり薄いから」というのが大半を占めている。アーガマは艦長の手腕や、クルーの結束の固さ、ロンド・ベル部隊のモビルスーツパイロットの優秀さによりこれまで大破したことは無い。しかし、いかにアーガマと言えども、数々の激戦の中をくぐり抜けて来ているので小破や中破は免れ得ないのだ。

そして、一番多くやられるのが問題の「左舷」である。戦闘中は敵の攻撃を防ぐために弾幕を張るわけだが、アーガマの場合、いつも左舷の弾幕ばかりが薄いという。「第四次スーパーロボット大戦」では、アーガマが攻撃を受けたとき一番多くブライト艦長が口にする台詞は「左舷弾幕薄いぞ!なにやってんの!」である。一連の戦乱が終わるまでにその台詞が出たのはおよそ120回。ということは、左舷ばかり120回も攻撃を受けているのである。これではたとえ艦が大破しなくとも、左舷のクルーの生命は極度の危険に晒されていることになる。

先の大戦の最中、連邦軍は世論をまとめるためのプロパガンダとして、戦闘の様子、特にロンド・ベル部隊のそれを盛んに報道してきたが、その中でのブライト艦長の台詞が人々の心に強く残っているようだ。

普通、このような勝利の立役者は、人々の間で英雄となり、多くの若者がそれに憧れ、またそうなることを夢見るものである。実際、軍人を志す若者は大半がロンド・ベル部隊、そして戦艦アーガマに配属されることを夢見ていると言っても過言ではない。皮肉なことに、このアンケートの質問3「あなたが一番かっこいいと思う就職先はどこですか?」では、「ロンド・ベル部隊またはアーガマ」が得票率71%でトップなのである。

この件に関して当の連邦軍やブライト・ノア氏以下のロンド・ベルのメンバーはノーコメントを通している。

宇宙暦213年3月某日(週刊ゲソダイ)

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